トマトは家庭菜園で特に人気の高い野菜ですが、その分「病気」や「害虫」に悩まされやすい作物でもあります。特に梅雨時期の高湿度は、灰色カビ病や葉かび病といったカビ性の病気を広げやすい危険なタイミングです。うどん粉病も、風通しが悪く夜間に湿度がこもる環境では発生しやすくなるため、あわせて注意が必要です。
この記事では、前半で家庭菜園を楽しむ方向けに「トマトの病気・害虫」の基本と梅雨対策を、後半では農家・生産者向けに最新の総合防除(IPM)戦略を解説します。「トマト キバガ」「トマト コナジラミ」「トマト サビダニ」など、近年注意が必要な害虫についても触れていますので、ぜひ最後までご覧ください。
家庭菜園で多いトマトの病気・害虫と基本対策
家庭菜園でトマトを育てていると、葉が白い粉をふいたようになったり、実が急に腐ったり、急に株がしおれたりして「あれ?」と思う瞬間があるはずです。まずはよくあるトラブルの正体を知っておきましょう。
うどん粉病 ― 乾燥気味でも、風通しが悪い場所では要注意
トマトの葉や茎が小麦粉をまぶしたように白くなる「うどん粉病」は、家庭菜園でも遭遇しやすい病気の一つです。
うどん粉病は、比較的乾燥した時期に発生しやすい一方で、株の中が込み合って風通しが悪い場所や、夜間に湿度がこもる環境でも広がりやすくなります。特に、日中は乾き気味でも朝晩に湿度が上がる季節の変わり目や、ベランダ・プランター栽培で葉が茂りすぎている場合は注意が必要です。
対策のポイント
- チッソ肥料を与えすぎない。葉ばかり茂ると風通しが悪くなり、病気が出やすくなります
- 肥料バランスを崩さず、株を軟弱に育てない
- 白い粉を見つけたら、早めにその葉を摘み取り、拡大を防ぐ
- 株間を広くとり、枝葉を整理して風通しを良くする
灰色カビ病 ― 梅雨の主役はこの病気
梅雨時期に最も警戒したいのが「灰色カビ病」です。花びらや傷んだ葉、収穫し忘れた実などをきっかけに発生し、灰色〜褐色のカビを広げながら茎や果実を腐らせていきます。
多湿な環境で広がりやすく、曇雨天が続いてハウス内や株元の湿度が高い状態になると、一気に発生が増えることがあります。特に果実まわりの湿気には注意が必要です。
農家目線で見ると、ホルモン処理で着果させた実に花びらが残る場面は要注意です。ホルモン処理で着果した実に花びらが残ることがありますが、張り付いた花びらが乾燥を妨げ、果実表面に湿気がこもることで、灰色カビ病が発生しやすい条件を作ってしまいます。
つまり、灰色カビ病対策では「花びらを残さない」ことがかなり重要です。家庭菜園でも農家のハウス栽培でも、咲き終わった花びらや果実に付着した花びらは、見つけた段階でこまめに取り除くようにしましょう。
対策のポイント
- 下葉や込み合った枝葉を整理し、株元の風通しと日当たりを良くする
- 雨よけや軒下への移動で、葉や実に直接雨が当たるのを防ぐ
- 水やりは株元にそっと行い、葉や花に水がかからないようにする
- 傷んだ葉や腐った実は早めに取り除き、株元に放置しない
- 咲き終わった花びらはこまめに取り除く
- ホルモン処理後に、実へ花びらが張り付いていないか確認する
- 果実まわりに湿気がこもらないよう、風通しを確保する
葉かび病 ― 施設・雨よけ栽培で多湿になる時期に注意
葉の表面に淡い黄色っぽい斑点、裏面に灰褐色〜紫褐色のカビが生えるのが葉かび病の特徴です。多湿な環境で発生しやすく、ハウス栽培や雨よけ栽培、風通しの悪いプランター栽培でも起こり得ます。
下葉から発生することが多いため、株元に近い葉をこまめに観察する習慣をつけましょう。放置すると葉全体に広がり、光合成能力が落ちて、収量や果実品質にも影響します。
対策のポイント
- 下葉を整理して株元の風通しを良くする
- 密植を避け、葉が重なりすぎないようにする
- 雨よけ栽培やハウスでは換気を意識する
- 病気の葉は早めに取り除き、株元に放置しない
疫病 ― 露地栽培や雨の多い時期に注意
トマトの「疫病」は、葉・茎・果実に発生するカビ性の病気です。葉に水がしみたような暗い斑点が出て、広がると大きな褐色の病斑になります。多湿条件では病斑の表面に白っぽいカビが見られることもあります。
特に露地栽培では、雨による泥はねや長雨で発生しやすくなります。梅雨や秋雨の時期に、葉や茎、果実に水浸状の病斑が出た場合は注意が必要です。
対策のポイント
- 雨よけ栽培で葉や果実が濡れる時間を減らす
- マルチを張り、泥はねを防ぐ
- 風通しを良くし、葉が乾きやすい環境を作る
- チッソ過多を避け、葉が茂りすぎないようにする
- 発病が多い圃場では、例年の発生時期を意識して早めに対策する
青枯れ病 ― ある日突然しおれる怖さ
晴れた日中に急に株全体がしおれ、夜になっても回復しない場合は「青枯れ病」を疑いましょう。土壌中の細菌が根から侵入し、茎の中の水の通り道を詰まらせることで起こります。
一度発病すると治療は難しく、株を抜き取って処分するしかありません。高温多湿な時期に発生しやすく、同じ場所で何年もナス科野菜を育てていると発生リスクが高まります。
対策のポイント
- 同じ場所でトマト、ナス、ピーマンなどのナス科野菜を続けて育てない
- 水はけの悪い場所を避ける
- 発病した株は早めに抜き取り、周囲に広げない
- 連作する場合は接木苗の利用を検討する
連作障害 ― 「去年と同じ場所」が病気を呼ぶ
毎年同じプランターや同じ畑の場所でトマトを育てていると、特定の病原菌や害虫が土の中に蓄積し、生育不良や病気多発の原因になります。これが「連作障害」です。
家庭菜園では以下のような対策が効果的です。
- 同じ場所・同じプランターの土で2〜3年連続してナス科野菜を育てない
- プランター栽培なら、シーズンごとに新しい培養土に入れ替える
- 地植えの場合は、天地返しや太陽熱による土壌消毒を行う
- 接木苗を使うことで、連作障害への耐性を高める
農家としての経験上、連作障害は土壌消毒だけで完全に解決するものではなく、土壌中の菌バランスや物理性、肥料成分の偏りも関係しているように感じます。有機物の投入や土づくりを継続し、作物が根を張りやすい環境を整えておくと、病気が出にくくなる印象があります。
家庭菜園で気をつけたい害虫 ― コナジラミ類・オオタバコガ・トマトサビダニ
病気だけでなく、害虫にも注意が必要です。
コナジラミ類 ― 黄化葉巻病と着色異常の原因に
コナジラミ類は葉裏に寄生して吸汁する小さな害虫です。トマトで特に問題になりやすいのは、タバココナジラミやシルバーリーフコナジラミです。タバココナジラミは「トマト黄化葉巻病」というウイルス病を媒介する厄介な存在で、発症すると治療が難しくなります。
また、コナジラミ類はウイルス病だけでなく、果実品質にも影響します。吸汁被害を受けた実は、まだら模様になったり、きれいに赤く着色しなかったりすることがあります。見た目が悪くなると、家庭菜園では食味以前にがっかりしますし、農家の場合は商品価値が大きく下がります。
一度増えると防除が難しくなるため、苗の段階で葉裏に白い小さな虫がいないか確認し、黄化・葉巻きなど様子のおかしい苗は購入しないことが大切です。疑わしい株を見つけた場合は放置せず、抜き取って袋に密封し、枯らしてから処分します。ハウスや庭の周辺の雑草、野良生えトマトもコナジラミ類の発生源になるため、こまめな除草と残渣処理も重要です。
オオタバコガ ― 果実に穴を開ける厄介な害虫
オオタバコガは蛾の幼虫で、果実に丸い穴を開けて内部に潜り込み、実を丸ごとダメにしてしまいます。見つけ次第、実ごと、または幼虫を取り除くのが基本です。夜間に飛来する成虫を防ぐため、防虫ネットの設置も有効です。
トマトサビダニ ― 葉や茎が褐色になる見えにくい害虫
トマトサビダニは、肉眼では見つけにくい非常に小さな害虫です。葉や茎が褐色になったり、葉が裏側に巻いたり、果実の表面がサビたように硬くなることがあります。発見が遅れると一気に広がるため、「何となく葉色が悪い」「茎が茶色っぽい」と感じた段階で早めに確認することが大切です。
梅雨シーズンのチェックリスト
家庭菜園でこの時期に意識したいポイントをまとめました。
- 下葉かき:株元の風通しを良くするため、地面に近い葉を整理する
- 支柱・誘引の見直し:枝葉が密集しないよう、こまめに誘引する
- 水はけの確認:プランターの排水穴が詰まっていないか、畝に水がたまっていないか確認する
- 花びら・傷んだ葉の除去:灰色カビ病の発生源を減らす
- 朝の見回り習慣:病気も害虫も早期発見が何よりの対策です
農家向け:トマトキバガ・コナジラミ類を中心とした防除戦略
家庭菜園レベルの対策に加え、経営として栽培を行う生産者には、より体系的で「時間軸」を意識した防除設計が求められます。特に近年、2021年に熊本県で国内初確認された「トマトキバガ」は、その後各地で確認が進んでおり、施設・露地を問わず警戒が必要な侵入害虫です。
病害虫防除は、発生してから慌てて対応すると後手に回りやすくなります。病気も害虫も、過去の発生データをもとに「あらかじめ年間の防除予定を組んでおく」ことが重要です。前年にどの時期に灰色カビ病が出たのか、コナジラミが増え始めたのはいつか、オオタバコガの被害果が出たのは何月か。こうした記録を残しておくと、次作の防除タイミングを前倒しで考えられます。
トマトキバガ(Tuta absoluta)の識別と発生動向
トマトキバガは、繁殖力の高さから短期間で被害が拡大する危険な侵入害虫です。既存のハモグリバエ類と食害痕が似ているため、現場での誤認が防除の遅れに直結します。
| 識別項目 | トマトキバガ | ハモグリバエ類 |
|---|---|---|
| 食害痕の形状 | 不整形で大きな斑状。内部に黒い糞が確認できる | 細い線状、蛇行した食痕 |
| 幼虫の形態 | イモムシ状で胸脚がある | ウジ状で脚がない |
| 食害部位 | 葉肉だけでなく果実や成長点にも及ぶ | 主に葉肉内のみ |
幼虫が葉肉や果実内部に隠れて生息するため、接触型の薬剤だけでは効果が限定的になりがちです。フェロモントラップによる誘殺数を定点観測し、発生の増加を早めに把握したうえで、防除間隔や薬剤選定を調整することが重要です。
施設栽培では、ハウス開口部に細かい目合いの防虫ネットを設置し、成虫の侵入を抑える対策も欠かせません。被害葉や被害果は圃場内に放置せず、土中深くに埋める、またはビニール袋などに密封して処分します。
トマトキバガはハモグリバエ類と食害痕が似ているため、初期対応が遅れやすい害虫です。葉の不整形な食害、内部の黒い糞、果実や成長点への被害が見られた場合は、早めに地域の病害虫防除所やJAなどの情報を確認し、防除対応を検討しましょう。
トマト黄化葉巻病(TYLCV)対策:コナジラミ類は3月・4月から警戒
タバココナジラミが媒介するTYLCVは、発症後の治療法がないため、育苗期からの侵入阻止が防除の成否を分けます。ただし、現場ではタバココナジラミだけでなく、シルバーリーフコナジラミを含めた「コナジラミ類」として個体数を増やさない管理が重要になります。
筆者の経験上、コナジラミ類は3月〜4月ごろから急激に増え始める印象があります。気温が上がり始める時期に「まだ少ないから大丈夫」と油断すると、気づいた頃には葉裏で増殖し、黄化葉巻病のリスクも高まります。そのため、春先から粘着板や葉裏の確認を行い、気温上昇に合わせて防除回数や見回り頻度を増やしていくことが重要です。
コナジラミ類で怖いのは、ウイルス病だけではありません。吸汁された果実はまだら模様になったり、きれいに赤く着色しなかったりすることがあります。こうなると、食べられるかどうか以前に見た目で商品価値が落ちてしまいます。特に農家の場合、着色異常果が増えると収量があっても販売できる実が減るため、経営面でのダメージが大きくなります。
- 播種・鉢上げ時:育苗期からコナジラミ類の侵入を防ぎ、苗の段階でウイルスを持ち込まないようにする
- 育苗後半〜定植当日:必要に応じて登録薬剤による処理を行い、初期の吸汁被害を抑える
- 定植後〜春先:気温上昇とともに葉裏確認や粘着板調査を強化し、発生初期を見逃さない
- 発生増加期:同一系統の薬剤に偏らないよう、IRACコードを確認しながら防除を組み立てる
- 果実肥大〜着色期:吸汁による着色異常果を出さないため、個体数を増やさない管理を徹底する
薬剤を使用する場合は、育苗期に使用した薬剤のIRACコードを記録し、定植後の防除で同一系統の連用にならないよう注意します。具体的な薬剤選定は、対象害虫、登録作物、使用時期、使用回数を確認したうえで、地域の防除暦や指導機関の情報に従いましょう。
あわせて、ハウス周辺の野良生えトマトの除去や、冬期の除草によるコナジラミ類の越冬場所の削減といった耕種的防除も、薬剤散布と同じくらい重要な工程です。
オオタバコガへの対応
オオタバコガの幼虫は果実に穿孔し、商品価値を著しく低下させるため、経営面でのインパクトが大きい害虫です。
防除では、発生状況の把握と適期防除が重要になります。果実に穴が開いてからでは被害果の回収が中心になるため、フェロモントラップや圃場観察によって発生を早めに確認し、若齢幼虫のうちに対応することが基本です。
また、被害果を圃場内に放置すると、幼虫の生存や次世代の発生につながる可能性があります。穴の開いた果実や疑わしい果実は早めに取り除き、圃場外で適切に処分しましょう。
薬剤を使用する場合は、対象作物と対象害虫への登録を確認し、後述するIRACコードローテーションの考え方を適用して、同一系統の連用を避けることが重要です。
トマトサビダニへの対応
トマトサビダニは体長が非常に小さく、発生初期は肉眼で見つけにくい害虫です。葉や茎が褐色になったり、葉が裏側に巻いたり、果実表面がサビたように硬くなることで異変に気づくことがあります。
厄介なのは、発見が遅れやすいことです。目に見える被害が出た頃には、すでに株の上部へ広がっていることもあります。特に高温乾燥になりやすい時期は、コナジラミやオオタバコガだけでなく、サビダニも意識して観察しておく必要があります。
対策のポイント
- 葉裏、葉柄、茎の褐変を早めに確認する
- 被害株を放置せず、発生初期に対応する
- 高温乾燥期は見回り頻度を増やす
- 薬剤を使う場合は、トマト・ミニトマトへの登録と使用回数を必ず確認する
- 同一系統の薬剤に偏らないよう、IRACコードを確認する
マルハナバチ利用時は農薬選びに注意
施設栽培でマルハナバチを利用している場合、使える農薬は大きく制限されます。トマトでは受粉作業の省力化や着果安定のためにマルハナバチを導入することがありますが、薬剤によってはハチへの影響日数が長く、散布後しばらく巣箱を戻せないものもあります。
そのため、農薬を選ぶ際は「トマトに登録があるか」「対象病害虫に効果があるか」だけでなく、「マルハナバチへの影響日数」も確認する必要があります。特に殺虫剤・殺ダニ剤は影響が大きいものもあるため、散布前に必ずメーカー資料や影響表を確認しましょう。
マルハナバチ利用時の確認ポイント
- 散布前に巣箱を一時的に退避させる必要があるか
- 散布後、何日後に巣箱を戻せるか
- ハチへの影響日数が長い薬剤を連続して使っていないか
- 天敵資材を併用している場合、天敵への影響も確認しているか
- 防除予定と受粉管理のスケジュールが矛盾していないか
病害虫だけを見て農薬を選ぶと、受粉管理に支障が出ることがあります。農家の場合は、防除計画とマルハナバチの運用をセットで考えることが重要です。
マルハナバチやホルモン処理などトマトの受粉方法の解説はこちらの記事

IRACコードに基づく薬剤ローテーション設計
薬剤抵抗性の発達は、将来的な防除手段の喪失という経営上のリスクに直結します。薬剤を選ぶ際は、商品名だけで判断するのではなく、有効成分と作用機構分類、いわゆるIRACコードを確認しながらローテーションを組むことが重要です。
- 同一系統の連用を避ける:同じIRACコードの薬剤を続けて使うと、抵抗性発達のリスクが高まります
- 発生状況に合わせて使う:予防的にだらだら使うのではなく、発生予察や圃場観察に基づいて必要なタイミングで使用します
- 育苗期の使用履歴も記録する:育苗期に使った薬剤も、定植後のローテーション設計に影響します
- 登録内容を必ず確認する:トマトとミニトマトで登録が異なる薬剤もあるため、作物名・使用時期・使用回数・希釈倍率を必ず確認します
- マルハナバチへの影響を確認する:施設栽培では、防除効果だけでなく受粉管理への影響も考える必要があります
ハウス内にIRACコードと適用作物、使用回数、マルハナバチへの影響日数を明記した管理表を掲示しておくと、誤使用や同一系統の連用防止に役立ちます。
梅雨期のハウス管理と防除記録の重要性
高温多湿となる梅雨期は、灰色カビ病や葉かび病、うどん粉病といったカビ性病害が広がりやすい時期です。ハウス栽培では、薬剤散布だけに頼るのではなく、環境管理と圃場衛生を組み合わせることが重要です。
- 換気扇や側窓を活用した積極的な除湿・換気
- 罹病葉や咲き終わった花びらの早期除去
- チッソ過多を避けた施肥設計
- 下葉かきや誘引による株元の風通し確保
- 被害株・被害果を圃場内に放置しない衛生管理
灰色カビ病では、咲き終わった花びらやホルモン処理後に実へ残った花びらが、果実まわりの乾燥を妨げることがあります。花びらが張り付いた部分に湿気がこもると、病気が出やすい条件を作ってしまうため、薬剤散布だけでなく、花びらを残さない管理も重要です。
また、トマトキバガやコナジラミ類のような重要害虫では、フェロモントラップや粘着板によるモニタリング記録も大切です。日々の発生状況、防除履歴、使用薬剤を記録しておくことで、次作の防除設計に活かせるだけでなく、産地全体でのリスク管理にも役立ちます。
筆者の経験でも、病気や害虫は毎年まったく同じ出方をするわけではありません。それでも「去年はこの時期にコナジラミが増えた」「梅雨入り後に灰色カビ病が広がった」「高温乾燥期にサビダニが出た」といった記録があるだけで、防除の初動はかなり変わります。発生してから薬剤を探すのではなく、過去の発生データをもとに年間防除計画を組んでおくことで、後手後手の防除を減らすことができます。
まとめ
トマトの病気・害虫対策では、家庭菜園でも農家でも「早期発見」「風通し」「圃場衛生」「肥料バランス」が基本になります。
家庭菜園では、葉の色や斑点、カビ、虫の食害をこまめに観察し、異変を見つけたら早めに取り除くことが大切です。特に梅雨時期は、灰色カビ病や葉かび病、疫病が広がりやすいため、下葉かき、雨よけ、水はけ対策を意識しましょう。
一方で農家の場合は、トマトキバガ、コナジラミ類、オオタバコガ、トマトサビダニなどの重要害虫に対して、発生予察、モニタリング、IRACコードを意識した薬剤ローテーション、育苗期からの時間軸管理が欠かせません。特にコナジラミ類は、黄化葉巻病の媒介だけでなく、吸汁による果実の着色異常にもつながるため、個体数を増やさない管理が重要です。
さらに、灰色カビ病では、咲き終わった花びらやホルモン処理後に実へ残った花びらが、果実表面の乾燥を妨げることがあります。病気を抑えるには薬剤だけでなく、花びらを取り除く、株元の風通しを良くする、被害葉や被害果を圃場内に残さないといった細かい管理が大切です。
マルハナバチを利用する施設栽培では、防除効果だけでなく受粉管理への影響も考える必要があります。使える農薬が限られる場面もあるため、薬剤選定は「病害虫」「作物登録」「使用回数」「マルハナバチへの影響」をセットで確認しましょう。
規模の大小を問わず、病害虫は「出てから慌てる」よりも「出にくい環境を作る」こと、そして「出る前提で先回りする」ことが重要です。梅雨の高湿度シーズン、春先のコナジラミ増加期、高温乾燥期のサビダニ発生など、時期ごとのリスクを意識しながら、栽培環境と防除計画を整えておきましょう。

